高カリウム血症の薬物治療

今回のテーマ:高カリウム血症

Key Word

  1. 高カリウム血症の原因を理解する。
  2. 高カリウム血症の症状を理解する。
  3. 高カリウム血症の治療方針と治療薬を理解する。

高カリウム血症

血清カリウム濃度が5.5 mEq/L以上の状態を高カリウム血症といいます。高カリウム血症は軽度では無症状であることが多いですが、血清カリウム濃度が7 mEq/Lを超えると,徐脈や心室細動といった不整脈が出現し時に致死的な状況となりえます。高カリウム血症の対処法を理解していおくことは重要です。

原因

高カリウム血症の原因は尿中カリウム排泄量によって考え方が異なります。以下にその原因を書きます。

高カリウム血症の原因

✔︎ 尿中カリウム排泄量が維持されている場合

 ① カリウム負荷

 ② 細胞内から血液内へのカリウムの移動

✔︎ 尿中カリウム排泄量<35 mEq/日の場合

 ③ 腎臓からのカリウム排泄障害

腎機能が低下している場合カリウム摂取量が増加することでも高カリウム血症のリスクはあり、レニンアンジオテンシン系阻害薬を代表とする高カリウム血症の発症リスクのある薬を服用している場合など薬剤性による高カリウム血症の可能性も検討が必要です。以下に高カリウム血症のリスク薬剤を書きました。

高カリウム血症のリスク薬剤

  1. アンジオテンシン変換酵素阻害薬(Angiotensin-converting-enzyme inhibitor:ACE)阻害薬
  2. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin  Ⅱ Receptor Blocker:ARB)
  3. ヘパリン
  4. 非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)
  5. アルドステロン受容体拮抗薬(スピロノラクトン ) 
  6. トリメトプリム
  7. ペンタミジン 
  8. カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン,タクロリムス)
  9. β遮断薬
  10. ソマトスタチン

文献1より作成

症状

高度な高カリウム血症(血清カリウム濃度7 mEq/L以上)では、筋力低下、麻痺、悪心・嘔吐などの自覚症状やバイタル上では徐脈不整脈が出現することがあります。また、高カリウム血症ではT波の増高、P波の低下・消失、PR間隔の延長、QRSの開大、房室ブロック、心室細動(Vf)などの心電図変化がみられることがありますが、必ずしも心電図変化が起こるとは限りません2-4)

薬物治療

高カリウム血症の治療を行う前に、高カリウム血症の原因の精査を行い、溶血や血小板・白血球の著増といった偽性高カリウム血症を除外する必要があります。

高カリウム血症に対する薬には致死性不整脈を予防する薬血清カリウム値を低下させる薬に分けられます。

高カリウム血症に対する薬は致死性不整脈を予防する薬血清カリウム値を低下させる薬

ここからは高カリウム血症の治療についてまとめていきます!!

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高カリウム血症治療薬

高カリウム血症の治療薬5)

✔︎ 致死性不整脈を予防する薬

   グルコン酸カルシウム

✔︎ 血清カリウム濃度を低下させる薬

   インスリン(glucose-insulin:GI療法)、炭酸水素ナトリウム

   ポリスチレンスルホン酸ナトリウム注腸、ポリスチレンスルホン酸カルシウム

血清カリウム値を低下させる薬は作用発現時間と作用持続時間によって使い分けます。

高カリウム血症治療薬の作用発現時間と持続時間

治療薬投与量作用発現までの時間作用持続時間期待される効果(数値)
Calcium gluconate
(カルシウム製剤)
4.65 mEq (IV)5-10 min30-60 min心電図変化・改善安定化
Insulin
(GI療法)
10 U (IV)15-20 min4-6 h0.5-1.5 mmol/L ↓ K+
Albuterol20 mg 30-60 min3-4 h0.5-1.0 mmol/L↓ K+
Terbutaline7 μg/kg 30-60 min4-6 h0.8-1.5 mmol/L↓ K+
Sodium polystyrene sulfate
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)
15-30 g4-6 h
Sodium bicarbonate
(炭酸水素ナトリウム)
50 mmol/L4-6 h4-6 h
文献5より作成

高カリウム血症の治療薬方針

高カリウム血症の治療方針5)

① K>6.5+心電図変化あり⇨カルシウム注射を投与する。

② K>6.5+心電図変化なし⇨疑性高K血症を疑う。

③ 疑性高K血症が否定的⇨GI療法(+acidemiaなら+メイロン)を実施する。

④ 慢性期管理ではアーガメイト、カリエードなど経口薬を使用する。

まとめ

高カリウム血症はカリウムの値によって緊急性を要する治療となります。今回は高カリウム結晶の症状、治療薬についてまとめていきました。是非参考にしてください。

高カリウム血症の治療は原因精査と治療薬の選択が重要となります。是非臨床で応用してください。

引用文献

1)J Am Soc Nephrol 1998;9:1535-43.

2)Ann Emerg Med. 1991 Nov;20(11):1229-32.

3)Am Heart J. 1974 Sep;88(3):360-71.

4)Clin J Am Soc Nephrol. 2008 Mar;3(2):324-30.

5)Am J Kidney Dis . 2010 Sep;56(3):578-84.

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